第7回 沖縄県こども環境会議 | The 7th Children’s Eco-forum 2017

1 概 要

⑴ 名  称:第7回沖縄県こども環境会議
⑵ 参加団体:下地小学校、久米島ホタル館(久米島ホタレンジャー)、大宜味小学校          自然観察クラブ、漫湖水鳥・湿地センターこどもエコクラブ
⑶ 期  日:2017年7月15日(土)~7月16日(日) ※1泊2日
⑷ 開 催 地:漫湖(那覇市・豊見城市)
⑸ 会  場:漫湖水鳥・湿地センター(豊見城市) TEL:098-840-5121
【宿泊】糸満青少年の家(糸満市)  TEL:098-994-6342
⑹ 主  催:漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会
(環境省那覇自然環境事務所、沖縄県、那覇市、豊見城市)
⑺ 後  援:沖縄県教育委員会、那覇市教育委員会、豊見城市教育委員会、浦添市教育委員会、石垣市教育委員会、宮古島市教育委員会、久米島町教育委員会、座間味村教育委員会、渡嘉敷村教育委員会、大宜味村教育委員会
⑻ 協  賛:オキコパン(株)、沖縄コカ・コーラボトリング(株)、沖縄森永乳業(株)

2 会議の実施状況
例年台風接近等、天候を気にしながらの開催が多かったが、今年度は天候にも恵まれ会議を迎えることができた。しかし、学校行事や学期末のまとめの時期など各団体の事情により参加を断念するところもあり、第7回会議では、4団体での交流・意見交換となった。
今回は、県内の団体のみでなく、Skypeをとおして県外の団体との交流や大人環境会議、大会後の途中経過を確認し合うための提案など新たな取組を実施することにした。会議に先立ち、担当者会議やコーディネーターと調整し、初日は「交流」、二日目は「学習」、三日目以降はそれぞれの団体での「実践」をキーワードに会議内容を構成することとした。進行方法については、過年度会議と同様に子どもたちの主体性を重要視し、自由な発想や行動を尊重するように配慮することを確認した。
今回の会議においても、「交流」を通して湿地保全や自然環境保全活動の新たな展開に向けて意見を交換し、「わたしの宣言文」を考え、最後に各湿地ごとの活動宣言文としてまとめ発表した。

一 日 目

⑴ 受付・オリエンテーション 【日程説明、諸注意、連絡事項】

長嶺 将範(センター職員)
一日目は、漫湖水鳥・湿地センターに14:00集合し、受付並びに交通費の清算を行い、会議会場のレクチャールームへ移動する。
オリエンテーションでは、4団体の紹介を行い、2日間の主な日程について説明し会議のスタートをきった。全員で会議の目的を確認し、初日「交流」(うんと仲良くなろう)、二日目「学習」(お互いの良いところを真似よう)、三日目以降「実践」(各湿地に帰ったら行動にうつそう)をキーワードに受け身の姿勢ではなく自分から積極的にかかわることを確認した。また、暑いので小まめに水分をとり熱中症対策をすることやフィールドにでる際には、帽子の着用など安全面への注意をして各湿地の紹介へと日程を進めた。

⑵ 湿地紹介  【コーディネーター】岸信 朋 氏 (沖縄県公衆衛生協会)
14:30からは、岸信朋氏をコーディネーターとして、手遊びゲームなどをとおして子どもたちの顔合わせとグルーピングを行った。班の編成は、湿地間の交流を促進するため、各湿地団体をばらし人数などを考慮し3班とした。班の名称は子どもたちで自由に決定した。

本会議中は、班ごとに行動することを基本とし、各団体の湿地紹介や活動報告はそれぞれの団体ごとに行い、宿泊場所の部屋割りや清掃分担も班を中心に男女別を考慮し決めることを説明した。
15:30から16:30までは、子どもたちが活動している各湿地の様子や湿地の自慢を行った。それに対し、各自ワークシート①を使い、自分の湿地との相違点や良い点を考え記録した。湿地の紹介等は、以下の順で行った。
・漫湖水鳥・湿地センターこどもエコクラブ
・下地小学校
・大宜味小学校自然観察クラブ
・久米島ホタレンジャ―
4カ所の湿地の紹介を聞きながら、相違点や気になったこと、自分たちの湿地もやってみたいことなどをワークシート①に記録した。その後、グループで個々の意見を出し合い、共有しグループの意見としてまとめた。

【子どもの声】
○自分のところと漫湖水鳥・湿地センターとの共通点は、木道があることやいろいろ生き物がいることで違う点としては、マングローブがあることやクロツラヘラサギがいることです。Sさん
○与那覇湾と漫湖には、マングローブがあって、大宜味村にはマングローブがない、それに漫湖では、マングローブが増え過ぎて困っていて与那覇湾では少なくむしろ植えていることに気づいた。Kさん
○大宜味村では、ごみが少なく漫湖と与那覇湾では人が多く大型ごみなども多いことがわかった。Kさん
○トントンミーやベニシオマネキ、クロツラヘラサギがいることと与那覇湾と漫湖では潮の満ち引きの影響があることがわかった。Sさん
○漫湖と与那覇湾にはマングローブがあるけど、久米島(登録湿地)にはないことがわかった。Sさん

⑶ フィールドワーク ―自然体験学習ー  【フィールドガイド】岸信 朋 氏
各湿地の活動発表の後、16:30~17:30まで木道周辺のフィールドサインや生き物、植物を見つけるゲームをワークシート②に記録しながらグループで競った。手がかりとして、足跡、食べ物、巣などを見つけながら、その痕跡を残した生き物を特定しながら観察した。外に出る前には、水分補給や帽子着用、虫よけ対策等を確認した。
それぞれが記録したワークシートは、夜の研修会でグループごとにまとめ発表した。

⑷ 糸満青少年の家への移動・夕食
フィールドワーク終了後の17:35に湿地ごとにタクシーに分乗し、「糸満青少年の家」に向けて出発した。
青少年の家では、施設管理者から玄関ロビーにおいて注意事項等の説明を受けた。注意事項の内容は、シーツの貸し出し返却場所や翌朝の清掃についてであった。その後、シーツを受取り、部屋割り表に従い荷物の搬入、寝床の準備等を行い、1階の大食堂で夕食をとった。初対面だった子どもたちもこの頃にはすっかり仲良くなっていた。

⑸ 糸満青少年の家での研修  【コーディネーター】 岸信 朋 氏
糸満青少年の家での研修は、夕食後の19:15から3階の研修室にて行った。研修では、各グループに分かれフィールドワークで見つけたフィールドサインをもとに模造紙に木道周辺の生き物を記録しマップを完成させた。完成させたマップは研修最後に発表した。子どもたちは、カニの巣穴やトントンミーの巣、鳥の足跡、テッポウエビが出す破裂音などいろいろなフィールドサインを見つけていた。

⑹ 大人環境会議  【引率者打合せと情報交換等】
これまで実施していた「引率者の意見交換会」を今回は、指導者が一堂に会する機会を利用して、短い時間ではあったが「大人環境会議」と銘打ち日頃の活動や当会議に対する意見交換と交流の場を設定した。

⑺ 就 寝                               
糸満青少年の家は多数の利用者があり、入浴は研修後となった。21:00には、全員部屋でゆっくり過ごし就寝した。

二 日 目

⑴ 起 床・朝の活動等

二日目は、全員6:30までに起床し各自洗面をすまし、早々に各部屋の清掃を済ませ、沖縄県こども環境会議のメンバーに割り当てられた3F研修室・廊下、風呂場・トイレ等を全員で清掃した。引率者のご協力もあり予定より早く清掃が終了し早めの朝食をとった。出発までの時間は、散歩や遊具での遊びなどそれぞれ自由に過ごした。その後、08:10にチャーターしたタクシーにて、漫湖水鳥・湿地センターへ移動した。

⑵ 開会のあいさつ    【漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会】                                                                 会長 宜保 晴毅 氏(豊見城市長)

漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会会長代理の豊見城市市民健康部大城浩部長の歓迎と激励のあいさつがあった。

⑶ こども環境会議 その1    【コーディネーター】 岸信 朋 氏
こども環境会議(その1)は、コーディネーター岸信朋氏の進行により、9:30から開始した。
会議は、各団体の環境保全活動や環境調査等の活動報告から始まった。今回初めて参加した下地小学校は、昨年総合的な学習の一環で取り組んだ与那覇湾について紹介した。その他の湿地もこれまでに取り組んだ活動について、パワーポイントを用いてわかりやすい説明を行った。
各団体の発表後、今後の活動について「だれが?何のために?どのような活動を?何をめざすか?」の視点でグループごとに模造紙にまとめ発表した。
今後は、参加者の真剣な様子から各自が他団体の活動を参考にして、新たな湿地保全及び自然環境保護活動に生かしていくものと確信した。

⑷ 昼 食
こども環境会議 (その1)終了後は、近くの食堂に注文しておいたカレーと鶏のから揚げを漫湖水鳥・湿地センター玄関前のパーゴラ下でとった。食器はエコマール那覇からリユース食器を借用した。漫湖水鳥・湿地センターボランティアの協力により片づけもスムーズであった。ほとんど残飯もでないエコで楽しい昼食会となった。

⑸ 県外団体との交流(Skype)  【コーディネーター】

富田 宏(センター職員)
  交流団体:米子水鳥公園
第7回会議では、県内の活動団体との交流のみでなく県外でも同様に湿地保全等かかる活動をしている団体との交流に取り組んだ。富田センター職員のコーディネートで米子にも沖縄にも飛来してくるクロツラヘラサギや中海で見られて沖縄では見られない鳥などの情報を共有した。コハクチョウの体重が7㎏もあることやヤンバルクイナがやんばるで実際に見ることができることにお互い歓声をあげていた。
各湿地の今後の活動に生かせるようにしたい。 

⑹ こども環境会議 その2      【コーディネーター】 岸信 朋 氏
最初に個人ワークを行い、それをもとに湿地ごとの宣言文をまとめあげることを説明。
①個人ワークでは、画用紙に「自分が何のためにどういうことをしたいのか」自分の宣言文を考える。

○私は、きじょかターブクを毎日鳥のあふれる環境にするために鳥のエサの住みやすいターブクにしていきます。Hさん
○自然と共存していくために、かんきょうにやさしい生活をします。Kさん
○私は生き物たちのために環境をよくしていきます。Aさん
○わたしは自然環境を守るためにゴミ拾いをいまよりももっとやっていきたいです。 Sさん
○わたしは世界中の生物のために自然をよごしません。Yさん
○自然を再生するために川、ビオトープをしっかりと作りたいです。Sさん
○私は漫湖の生き物が減らないためにごみ拾いをすすんでしていきます。Mさん
○私は、湿地の生き物のためにごみひろいをしたりしてかんきょうを守ります。Sさん
○私は生き物のことを知るために生き物の種類をたくさん覚えたいです。Hさん
○私は水鳥や生き物のためにごみをへらします。Aさん

②宣言文をムービー撮影する。
③全員の宣言文を確認する。
④湿地ごとにまとまり、各自の宣言文をもとに湿地の宣言文を考え模造紙に書く。
⑤湿地ごとに宣言文をまとめ発表する。

【下地小学校】一人一人が与那覇湾の生き物と共存していくためによいかんきょうにします。
【久米島ホタレンジャー】自然環境を守るために川、ビオトープをしっかりと作り、ゴミ拾いを今よりも、もっとやっていきたい。
【喜如嘉ターブク】私達は喜如嘉ターブクをよごさないで鳥や生き物がたくさん住める場所を作っていきます。
【漫湖水鳥・湿地センター】私は、生き物のために進んでごみ拾いをし環境を守っていきたいです。

⑥最後に各自の宣言文をムービーで流しみんなで見た。(センターのカメラ設定の不具合からスロー撮 影されていたためムービーに合わせその場で各自が宣言文を読み上げる)

⑺ 講評   【環境省那覇自然環境事務所】 所長 西村 学 氏
こども会議終了後、漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会事務局の環境省那覇自然環境事務所西村学所長より、講評をいただいた。

⑻ 閉会のあいさつ      【漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会】

副会長 城間 幹子 氏(那覇市長)
漫湖水鳥・湿地センター管理運営協議会副会長代理の那覇市環境部玉寄隆雄部長から会議の感想を交え閉会のあいさつがあった。

5 沖縄県こども環境会議の開催状況と成果について
沖縄県こども環境会議は、「国連国際生物多様性年」の平成22年に第1回会議が豊見城市の漫湖水鳥・湿地センターで開催された。その後、航空運賃等の高騰により一度中止(平成27年度)されたが、今年は第7回会議を無事開催することができた。
毎年台風の襲来に悩まされる沖縄においては、夏季の諸行事は台風の発生・進路を気にしながらの準備となるが、昨年度に引き続き今年度も台風の心配がない状況で開催することができた。
今年度は、県内7カ所の活動団体へ派遣を呼びかけるも残念ながら最終的に4団体の参加となった。派遣を見合わせた理由としては、学校行事との兼ね合い(学期末、運動会前、修学旅行など)があった。学校を中心とした活動団体においては、学校行事や担当教師の異動等があり派遣を断念するケースがあるようだ。今回の会議では、これまでとは趣向を変えSkypeによる県外団体との交流や夜の時間を活用しての「大人環境会議」、会議後の活動状況をお互い共有するための活動報告(1月頃)など新たな提案をした。

⑴本会議の成果としては、
・与那覇湾で鳥を観察している下地小学校を加え、4団体での開催が実現できたこと
・新しい引率者も含め今後の連携強化が図られたこと
・7回に渡る開催を通してラムサール条約の普及啓発に少なからず寄与することができたこと
・県内各地の湿地で活動を続ける仲間の輪が広がったこと
・他団体の活動を知ることでお互いに刺激を受け、新たな意欲や新たな展開に繋がったこと
・県外の活動団体の様子を知りお互いに交流ができたこと
・大人環境会議で各引率者の率直な考えを聞くことができたこと
・会議に参加した子どもたちの成長に繋がったこと 等が挙げられます。

以上のことや参加者のアンケート結果などから、本会議の目的である
「県内の各湿地の連携強化と環境保全活動を行っている子どもたちの交流」
「今後の湿地保全や自然環境保護活動の新たな展開に向けての意見交換」
を実現できたと考える。
今後は、新たな参加団体の発掘等に努め参加者増につなげる必要がある。また、「大人環境会議」でも意見がでたように会議そのものの在り方についても検討する必要があると思われる。